[解説]三宅島在京非帰島島民の人口推移と課題
2006/12/22
<Q>2000年8月1日付、噴火災害前月は何人?
<A>全島民は1、972世帯、3、855名が村の住民基本台帳人口の数です。
<Q>2000年9月2日、3日、4日の全島避難指示前後の状況は?
<A>避難指示(9月1日)前の避難の状況は、都災害対策本部(9月1日付)調べでは、
- 人口3、855名中、1、145名(約3割)が在島、
2、710名(約7割)が゙離島。(男1、934名中759名(約4割)が在島、
1、175名(約6割)が離島。女1、921名中、368名(約2割)が在島、
1、553名(約8割)が離島。 - 9月4日 全島避難後417名の防災関係者が残留。(3、855名―417名=3、438名避難)
- 世帯1972世帯中、813世帯(約4割)が在島、1、159世帯(約6割)が離島。
- 全島避難指示による東海汽船での離島者数は、9月2日、291名。9月3日、591名。9月4日、419名。計1、301名他に若干名漁船による避難者有り。
- 小・中学生 444名 8月までに全員島外へ避難。
- 特別養護老人ホーム「あじさいの里」49名全員が本日9月1日で避難済
- 乳幼児 207名中194名が避難済(9月1日現在)
- 避難地9.1割が都内、1都16県に避難。
<Q>避難解除となった2005年2月1日以降に何人帰島して、何らかの理由で残ったのは何人?
<A>避難解除して、2007年2月1日で丸2年となりますが、2006年末になっても正確な推移は把握できない現状です。
- 避難解除した2005年2月1日付の村に在籍人口、世帯数は、人口3、155名、世帯1、618です。(避難前月3、855名―3、155名=700名流出。1、972世帯―1、618世帯=354世帯マイナス移籍)*4年半の長期避難による損失です。
- 実態に近いと思われるのは、村が確認調査を行なった2005年8月31日付調査は(表参照)人口2、158名(帰島割合67.6割)、世帯1、247(75.8割)です。
- 2006年10月1日付では、人口2、910名(3、855名-2、910名=マイナス945名、世帯1、972-1、753世帯=マイナス219世帯)しかし、実数は、人口、世帯とも住民登録数より低く、約1、000名が非帰島島民と見ています。一方では人口2、910名ですが、公務員約200名、工場関係者が、500~600名(現在減少傾向)であり、別居世帯が増大しているために実質帰島島民数は約2、000人前後の見方が強くなっています。
<Q>非帰島島民の動向は?
<A>年令階層別の状況表(2005年、2006年11月1日付)を見ると、20~30才代の増加があります。しかし、ふるさとネットの調査によると、都下世帯は、8月205世帯、9月161世帯、11月156世帯と近隣の埼玉、神奈川から遠くは青森県など広範囲に住んで9県56、伊豆諸島世帯、合計217世帯、転居不明153世帯の合計は370世帯となっています。
*(島の世帯平均人口1.7)(非帰島世帯370世帯×1.7平均人口=627名+別居などの名目流動人口を400名とすると1、029名となる。)
<Q>ふるさとネットの活動と非帰島島民の課題は?
<A>帰りたくても帰れない島民の人達に対して、子育て世代や、別居世帯で高齢者も多いことから精神面・肉体面の両面から健康状態の確認や、三宅島の情報提供、問題とか課題があるようであれば、行政への働きかけを行ったり、話し相手になったり、そのようなことを目的とした活動です。
三宅島島民の支援組織の変遷を経て2005/4/1に「三宅島ふるさと再生ネットワーク」を設立しました。その主旨(①帰島したくても帰島できない人の為の支援策②三宅島の復旧・復興。村に島民と対話重視の姿勢を働きかける。③三宅島噴火災害の現状の発信と情報を提供する等)に則り、2005年7月より活動に入りました。
<Q>これまでにどれくらいの世帯と言うか軒数を訪問しているのか?
<A>約70世帯、約260回の訪問活動を行いました。
<Q>それで全ての非帰島民の軒数か?
<A>東京都下、23区と三多摩地区を訪問活動のエリアと考えていますが、訪問しても移転された方も多数おられ、現在我々が把握している世帯は約160世帯と認識しています。人数にすると約300名(160世帯x1.7=272)くらいでしょうか。転居された方も東京におられるもと思いますが、移転先が分かりません。
<Q>現在、訪問活動をしている人は何人くらいいるのか?
<A>学生さんのボランティアや社会人の方もおられ、現在24-25名で訪問しています。
<Q>訪問活動は、定期的にやっているのか?
<A>土日・祭日や、時間が有るときに訪問しています。皆さんがそれぞれ時間を都合して訪問されています。独りで住んでおられる方や病気がちのお宅には、出来るだけ定期的に訪問するようにしています。
<Q>どのくらいの頻度で訪問しているのか?
<A>独りで住んでおられる方や病気がちのお宅には、出来るだけ定期的に訪問しています。それでも月に1度程度です。
<Q>活動は、一人ずつ(1名単位)で訪問しているのか?
<A>男性の場合は、一人で訪問しているが、女性の場合は、基本的には2名以上で訪問することにしています。
<Q>非帰島の方は、どんな所(住まいの形態)に住んでいるのか?
<A>公営住宅に住んでおられる方が多いような状況です。都内23区と周辺に散らばるように住んでおられます。
<Q>訪問先の家族構成はどのようなものか?
<A>訪問したお宅では、ご夫婦のところや、独りですんでおられる方など様々です。
<Q>独り住まいの人が多いのか?
<A>具体的に比較する数値を出していませんが、独り住まいのお宅を何軒か訪問しています。
<Q>非帰島民の方は、どんな悩みをもっているのか?
<A>アンケート調査でもお話させて頂いたと思いますが、同じように「健康問題に対する不安」や「経済的な基盤に不安、つまり収入がないことや、家賃等の支出による貯蓄の減少」「島の住宅改善費用」行政に対する不満...「帰島したくても帰島できない」事実があります。
*ご夫婦でどちらかが入院されたりして、話し相手がいない。
<Q>今後はどのような活動を考えているのか?
<A>先ず、全体の実態を把握したいと考えています。理想的には、各々の健康状態や家族状況に合わせた定期的な訪問活動することが望ましいと考えています。優先的には、独り住まいの高齢・病気の方を訪問すべきと思います。また、今後は、電話をかけることが皆さんとのコミュニケーションの一つと考えていますので、それも訪問活動の一環として考えています。
<Q>行政には、どのような要望がありますか?
<A>ふるさとネットでは、2006年12月8日都庁記者クラブでアンケートの集計と課題について発表しました。佐藤就之会長は、非帰島島民の要望について次の諸点を示し、2007年2月1日丸2年の避難指示解除日を目途に要望書を検討したいと述べました。
国に対する要望(案)
一、 被災者生活再建支援金の打ち切りをやめ、延長すること。
二、 長期間の自然災害に対する被災者支援策を確立すること。
三、 被災者の住宅損壊に対し住宅本体に再建支援金を支給すること。
四、 火山ガスにより立ち入り禁止制限地区住民、高感受性者の高齢者・子ども等の被災者に対する支援策、三宅島―羽田間空港再開など支援をおこなうこと。
村・都に対する要望(案)
一、帰島生活再建支援金など都の支援策と村の高濃度地区の支援策の今年度の打ち切り をやめ、延長すること。
二、帰島条件の整備のため空港再開、渡航費支援、高濃度地区に脱流装備設置、住宅保障など整備。
三、避難指示解除により非帰島島民に対する支援策を打ち切ることなく継続すること。